仏文学者・鹿島茂の現在と軌跡!膨大な古書愛と名著の深層に迫る
鹿島茂氏を語る上で欠かせないのが、世界的な規模を誇る蔵書コレクションの存在です。専門とする19世紀フランスの稀覯書、風刺画、ファッションプレート(服飾図版)、新聞・雑誌、古地図に至るまで、収集したアイテムは数万点以上に達します。グランヴィル、ドーミエ、ギュスターヴ・ドレといった巨匠たちのオリジナル挿絵本がずらりと並ぶ光景は、もはや私設博物館の域に達しています。
その凄まじい収集熱ゆえに、自宅や仕事場の書斎は常に床が抜ける寸前の限界状態にあることで知られ、蔵書専用のマンションや倉庫を確保してきたエピソードは愛書家の間で伝説化しています。「本を買うために原稿を書き、原稿を書くためにまた古書を買う」という循環を自認する姿は、まさに生粋のビブリオマニア(愛書狂)そのものです。
氏が古書収集に注力する目的は、単なる好事家の道楽にとどまりません。残された紙片や図版から「古書を通じてパリの歴史と都市空間を立体的に再構築する」という強固な研究倫理に基づいています。世界最初の百貨店ボン・マルシェの誕生と発展を描いた『パリのグランド・マガザン』などの名著は、一次資料となる当時のカタログや社内報を徹底的に集め抜いたからこそ成し得た金字塔といえます。
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