横綱玉の海はなぜ27歳で命を落としたか 虫垂炎手術と真の死因
玉の海正洋の悲劇は、当時は比較的簡単な外科手術と見なされていた虫垂炎の術後に起こった。退院を翌日に控えた1971年10月11日朝、東京・三井記念病院の病室で横綱は突如として激しい胸の痛みを訴え、そのまま意識を失った。迅速な人工呼吸や心臓マッサージの手当も空しく、午前11時すぎに息を引き取った。
解剖の結果、直接の死因は右肺動脈を塞いだ巨大な血栓による「肺血栓塞栓症」と判明した。足の静脈にできた血栓が剥がれ、血流に乗って肺の太い血管に詰まったのだ。当時、日本国内では「エコノミークラス症候群」という言葉すら一般的ではなく、術後の絶対安静が逆に下肢の静脈血栓を作り出すリスクについての認識は極めて薄かった。まさに昭和の医療における盲点が引き起こした惨事と言える。
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