芸能界の「あらた」といえば誰?井浦新の改名真相から佐藤新の現在まで
「あらた」という名前を聞いて、真っ先にその深みのある佇まいを思い浮かべる人が多いのが井浦新だ。1990年代後半、ファッション雑誌『MEN'S NON-NO』やパリコレクションなどでトップモデルとして一世を風靡した彼は、当初アルファベット表記の「ARATA」名義で活動していた。
1998年に是枝裕和監督の映画『ワンダフルライフ』で俳優デビューを飾り、2002年の映画『ピンポン』で演じた冷静沈着な天才卓球プレイヤー「スマイル」役で一躍その名を映画界に轟かせた。モデル出身特有の類稀なるプロポーションと、内省的で静謐な演技力は唯一無二の存在感を放ち、ミニシアター系から商業大作まで欠かせない存在へと駆け上がっていく。
そんな彼が、長年親しまれた「ARATA」の芸名を捨て、本名である「井浦新」へと完全移行したのは2012年のことである。この改名の背景には、俳優としての決定的な信念があった。
転機となったのは、若松孝二監督の映画『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で主演の三島由紀夫役を演じたこと、そして同年に放送されたNHK大河ドラマ『平清盛』で崇徳上皇(崇徳院)という歴史上極めて重要な人物を演じたことだった。日本の伝統や歴史、命を懸けて散っていった実在の人物を演じるにあたり、エンドロールにアルファベットの「ARATA」とクレジットされることに強い違和感と申し訳なさを抱いたという。「作品や先人たちに失礼のないよう、先祖から受け継いだ本名で責任を持って表現に向き合いたい」という強い覚悟が、本名改名への引き金となった。
以降、TBS系ドラマ『アンナチュラル』の中堂系役や『最愛』の加瀬賢一郎役、大河ドラマ『光る君へ』の藤原道隆役、映画『ゴールデンカムイ』のアチャ(ウイルク)役など、人間の光と影を巧みに描き分ける役者として、映画界・ドラマ界からの信頼は揺るぎないものとなっている。