盲導犬にならなかった名犬、キャリアチェンジ犬を迎える条件と現実
補助犬の育成現場において、進路変更は極めて前向きな適性判断の結果に過ぎない。映画『クイール』のモデルにもなった伝説的な盲導犬訓練士・多和田悟氏は、かつて犬の個性を見極める重要性を繰り返し説いた。音に敏感すぎる繊細さや、道端の小鳥に気を取られてしまう天真爛漫さは、視覚障害者の命を預かるパートナーとしてはリスクになり得る。しかし、一般家庭のリビングにおいては、何物にも代えがたい魅力的な愛嬌へと変わる。
主軸となる犬種はラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバー、あるいはそのクロスブリードだ。彼らは厳しい訓練で心をすり減らしたのではなく、自分の気質に最も合った暮らしを手に入れるために別の道へ進む。YouTubeの育成ドキュメンタリーやNHKオンデマンドの特集番組を通じてその育成哲学が広く知れ渡ったことも、世間の偏見を払拭する強い追い風となった。
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