多磨霊園に眠る三島由紀夫の墓、盗難騒動の真相と知られざる遺訓

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三島の文学的頂点を語る上で欠かせないのが、絶対的な美の焼失を描いた金閣寺(小説)であり、全4巻に及ぶ畢生のライフワーク『豊饒の海』である。輪廻転生をテーマに、第四巻『天人五衰』の最終行を書き上げたその日に彼が決死の行動に移った事実は、創作と死が完全にひとつの芸術としてデザインされていたことを証明している。

金閣寺の炎上に見られる破滅へのオブセッションは、現実の肉体を鍛え上げ、ついには自らの命を燃やし尽くすドラマへと昇華された。墓前に立つと、彼の残した壮大なテクストの数々が脳裏をよぎる。言葉の力を極限まで信じ、同時に言葉の無力さに絶望した末の肉体言語の行使。文学の極北に達した男の沈黙が、重厚な墓石の質感を通して胸に迫る。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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