伝統の血脈と女優の宿命――寺島しのぶが歌舞伎界の未来へ投じる「問い」と母としての情熱
時を経て、彼女の熱意は次世代へと引き継がれた。フランス人実業家の夫との間に生まれた息子・尾上眞秀(まほろ)が、歌舞伎の世界へと足を踏み入れた時の鮮烈な印象は記憶に新しい。日仏のダブルルーツを持つ歌舞伎俳優の登場は、厳格な格式を保つ梨園に新しい風を吹き込んだ。
2026年、10代半ばとなった眞秀は、古典の型をしっかり身につけながらも、現代的な感性を兼ね備えた歌舞伎俳優として大きな成長を遂げている。稽古場で見せる母の表情は真剣そのものだ。自身が立つことのできなかった歌舞伎の舞台で、血を受け継ぐ我が子が舞う。そこには複雑な感情を超えた、ひとりの大先輩としての温かくも峻烈な眼差しが存在する。
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