2026年、なぜ今「家庭内侵略ホラー」が空前の社会現象なのか?『ぬらりひょんの住む家』が突きつける現代日本の闇と狂気
「ぬらりひょん」といえば、古くから伝わる妖怪の総大将であり、勝手に他人の家に上がり込んで茶を飲むという呑気な伝承で知られていた。だが、本作はそののどかな伝承を悪夢へと塗り替えた。そこにいるのは、愛嬌のある妖怪などではない。人間の弱味を巧みに突き、じわじわと精神を侵食していく絶対的な「侵入者」だ。
劇中で描かれるのは、超自然的な現象や怪奇現象ではない。どこにでもある普通の家族が、一人の異物によって内側から崩壊していく人間模様である。主人公が直面する絶望は、怪異の恐怖というよりも、家族が一人また一人と別人のように変貌していく理不尽さにある。この現実味を帯びた恐怖演出こそが、従来のJホラーとは一線を画す点だ。
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