キメラとは?神話の怪物は実在した!人体に潜むDnaの謎と最新研究
受精卵の融合という稀なケースだけでなく、より日常的な妊娠現象によって生じる微量なキメラ状態を「マイクロキメリズム」と呼びます。
妊娠期間中、母体と胎児の間では胎盤を通じて栄養だけでなく微量の細胞も交換されています。出産後も子どもの細胞は母親の血液循環に残り、脳や心臓、肝臓、皮膚などの臓器に何十年にもわたって住み着くことが近年の研究で判明しました。母親の体内には我が子のDNAを持つ細胞が息づいており、傷ついた母体組織の修復を助けている可能性が示唆されています。逆に、母親の細胞が胎児の体内に移行して長期間生存するケースも確認されており、私たちは誰もが部分的なキメラであると言えます。
一方、農業・園芸の現場で古くから活用されているのが植物キメラ接ぎ木です。病害虫に強い野生種の「台木」に、甘くてジューシーな果実をつける栽培種の「穂木」をつなぎ合わせる接ぎ木技術では、切り口の癒合組織(カルス)で細胞が混ざり合います。これにより、外側の表皮細胞と内側の組織で異なる品種のDNAを持つ「周縁キメラ」と呼ばれる柑橘類や鑑賞植物が数多く誕生し、品種改良や農業生産の安定に貢献しています。
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