『恋に至る病』結末の真相と150人自殺の狂気!斜線堂有紀傑作考察
物語の起点となるのは、あまりにも凄惨かつ異常な事件の結末です。私立高校に通う女子高生・寄河景は、類まれな美貌と誰からも愛される天真爛漫なカリスマ性を持ちながら、水面下で精巧な「自殺請負・教唆システム」を構築。結果として150人以上を自死に追いやり、死刑判決を受けるに至ります。
語り手である同級生の宮嶺望は、景が周囲の人間を洗脳し、破滅へ突き落としていく過程を最も身近で見つめ続けていた人物です。望は決して景の悪行に気づいていなかった無知な被害者ではありません。彼女が紛れもない「怪物」であることを誰よりも正確に把握し、その所業に戦慄しながらも、彼女から注がれる甘美な言葉と絶対的な存在感に抗えず、魂の底から彼女に溺れていきました。
本作の特異性は、「誰が犯人か」を探るフーダニットではなく、「なぜこれほどの虐殺が行われたのか」、そして「怪物の心に愛は存在したのか」を解体していくホワイダニットとサイコホラーの融合にあります。メディアワークス文庫というライト文芸のレーベルにありながら、提示されるテーマは極めて冷酷であり、人間の尊厳と愛の定義を根本から揺さぶる構造を持っています。
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